今夜最終回放送『同期のサクラ』。目覚めたサクラへ。少しだけなら曲がって生きてもいいんだよ?
今宵、どんなドラマを描こう 第9回
■“忖度”という旨味を知ったサクラは自分を写す鏡
最終回、サクラは意識不明によって解雇された大手ゼネコンに復職する。そこで自分が権力を持ち、忖度に素早く反応していれば、うまく生きていけることを知ってしまう。自分に嘘をついてしまう。その予告を見ながら、彼女が成長していくのだと、しみじみしてしまった。
両親を失って、祖父に育てられ、曲がることを知らずに上京したサクラ。同期4人は同じ時間を家族、恋愛、流行、仕事とさまざまな環境に囲まれて、湾曲して生きる。そしてずるくなる。でもその曲がった部分を、北野サクラという大きな愛が正した。最終回、サクラの湾曲していく成長を誰が止めるのだろうと気になる。できれば本人の手によって針金をグイッと調整するように、真っ直ぐにしてほしい。
この原稿を書きながら、私自身も迷ってしまった。ストレートか、うねってくねって進むのか、どちらが正しいのだろうかと。現状、自分に嘘はつかないで進んでいるけれど、すごく損をしているのではないかと思った。そんな時にふと思い出したのが、地元に住む姪っ子(9歳)からのFAX。このドラマを見て、じいちゃんのFAXに感動した彼女は、生まれて初めて知った通信機器にハマっている。そして送信するところがないので、毎度東京に伯母へ送られてくる。返信をしないと本気で怒られる。
「ママから頼まれたことがあるから、あとでFAXするね!」
と電話がかかってきたこともある。用があるならそのまま話してくれてもいいのだが。なぜそんなにFAXがいいのか聞くと
「LINEと違って、ペンで書くから……なんか、嘘をつけないのがいい。じいちゃんも言っていたじゃん、嘘はダメって」
ああ、そうか。じいちゃんの文言、それがサクラの生き方。まだこの世に10年も生きていない子どもにも大きな影響を与えているのなら、それが迷う気持ちへの答えだ。
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